
分 類:集狂言 すっぱ物
登場人物:すっぱ(シテ)、田舎者、目代
あらすじ
茶壺を背負った田舎者が酒に酔って道で寝込んでしまう。通りがかったすっぱは、その茶壺を自分の物にしようと、背負い紐に片腕を通して田舎者と背中合わせに寝る。田舎者は起きて、茶壺の取り合いとなり、目代が裁きに入る。
茶壺が自分の物であるという理由を尋ねても、茶の入日記について謡い舞わせても、すっぱは田舎者の言動を盗み取っているので、同じように返答する。
今度は相舞(二人同時に舞わせる)で判定を試みるが、何とかすっぱも同様に舞うので、目代は判定できず、「論ずるものは中から取れ」というからこれは自分がもって退けると言って、茶壺を持って逃げて行く。

みどころ
田舎者と目代二人の、舞台的に後方(常座)に存在することで、すっぱは盗み見・盗み聞きをし、しどろもどろながら、田舎者の言葉を真似ることが出来るのは、狂言での、面白い舞台面の使い方だと思います。この盗み見のパターンは、『長光』でもお馴染みです。
最大の見せ所は、最後の田舎者とすっぱの“相舞”(二人同時舞)でしょう。すっぱが田舎者の舞を観察し、苦心しながら舞い合わせしていきますが、田舎者もあやしいと感じて、途中途中、ストップをかけます。そのストップでたじろぐすっぱの姿と、舞の再開で、一気に緊張を解き放たれたすっぱが、少しトンチンカンな舞姿を見せるところが見ものです。♪「酔いて、寝たるを・・」という謡で、本当にすっぱが「寝た寝た」とか言って、実際に舞台に寝込んでしまう(田舎者は、そんな舞を舞わないのに)所は爆笑ものです。
相舞の場面でゲラゲラ笑ってしまえば、目代が茶壺をかっぱらって行くところも、やはり笑ってしまう事でしょう。たとえ、貴方が「裁断役の目代自身が、実は物を奪って逃げる」という、『鳴子遣子』等に見受けられる、狂言によくあるパターンを既に承知していたとしても。
結局、目代ははじめから茶壺を奪うつもりで、裁断役をかっているようにも思えてくる狂言です。やっぱり、分かりますよ。すっぱの方が明らかに偽物だと。
文:湯田拓也
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