別表記:引括(ひっくくり、大蔵流古名)
分 類:聟女狂言 夫婦物
登場人物:主人(シテ)、太郎冠者、女
あらすじ
主人は、妻が里帰りしているのを良いことに、無理やり太郎冠者に離縁状を持たせます。 主人から手紙が来たといって喜んでいた妻でしたが、中身が離縁状と気づくや烈火の如く太郎冠者を 問い詰めます。真相を知った妻は主人の元へ駆け込み、「よくも里へ戻ったのを良いことに、離縁状を 太郎冠者に持たせたな」と怒りますが、主人は「離縁した者がこの家に入るということがあるものか」と 強がります。そこで妻は、何なりと離縁の印の品をよこせと、大きな袋を持って迫ります。 何なりと好きなものを持っていけ、という主人でしたが、妻が袋に入れてもって帰ってしまったのは 、なんと主人でした。めでたしめでたし。
みどころ
みどころはどれかというと難しいですが、気軽に楽しめる狂言です。あえて言うならば、主人と妻の
間で板ばさみになる太郎冠者の哀れさでしょうか。主人には刀で脅され、妻は恐い。
あなたにも心当たりがあるはずです。
俗に「可愛さ余って憎さ百倍」と言いますが、本曲に出てくる女はまさにこれでしょう。
「去られたかと思えば、身が燃ゆる様に腹が立つ」と言って身をくねらせる様は、狂言ならではの
すばらしい演技だと思います。
離縁の話で始まりますが、暇の印として男を持っていってしまうので、実はハッピーエンドなのです。
そのため、結婚式の披露宴でこれを友のために上演しようという酔狂な人もいます。
うんちく
引括は大蔵流では明治以後廃曲となっていましたが、非常によい狂言なので、 何時の間にか上演されるようになりました。しかし一応廃曲なので、名前を変えて誤魔化して 上演していたとこのとです。これは噂なので、あまり信用しないで下さい。単語帳
・暇の状(いとまのじょう)− 離縁状
文:佐渡のきつね
公演情報