分 類:出家座頭狂言 出家物
登場人物:新発意(シテ)、住持、傘借り、馬借り、斎呼び
あらすじ
お寺さんのお話です。その寺の住持はもうずいぶん歳をとっています。ですから、朝晩のお勤めや、檀家さんの世話をするのが大変です。そこで新発意(仏門に入って間のない者、といっても寺を譲られるぐらいなので新米ではないのでしょう。)に寺を譲ろうと思いました。そして、新発意に檀家さんを大切にするようにと教えます。
寺を譲られた新発意はようやく寺を譲られたと喜び、もう、うきうきです。住持にいわれた様に檀家さんを大切にしていこうと張り切っています。
そこへやってきた一人の檀家。山の向こうにいく途中に雨が降りそうになったので寺で傘を借りていこうとやってきたのです。貸して下さいといわれた新発意は新品の傘を貸してしまいます。喜んでそのことを住持に伝えると、まだ一度も使ってない傘をなぜ人に貸すのだと怒られてしまいます。住持は傘の断り文句を教え、これからはこのように言えと教えます。せっかく誉められると思っていたのに逆に怒られてしまった新発意はしょんぼりです。でもそこは素直な新発意、今度誰かが借りにきたら教えてもらったように断ろうと考えます。
次に別の檀家さんが馬を借りにやってきます。しかし新発意はさっき教えてもらった傘の断り文句を言って断ろうとしてしまいます。馬を借りにきたのに、傘の断り文句を言われた檀家さん。当然のことながら何のことかわかりません。そのまま馬も借りられず婦ってしまいました。そんな檀家の気持ちもつゆ知らず、今度こそ誉められると、新発意は大喜びです。
でも誉められるはずがありません。やはり怒られます。しかも新発意は「すれば、傘と馬とは違いまするか。」などと言い出します。そんなの違うに決まっています。そんな新発意に住持は怒りながらもちやんと馬の断り文句を教えます。
またしよんぼりする新発意。今度こそは言われた通りにしようと張り切ります。そこへ住持と新発意を招待しに檀家さんがやってきます。そして新発意は言われた通りに馬の断り文句で檀家の招待を断ってしまったのです。
そのことを聞いた住持はとうとう完全に怒ってしまいました。それに対して新発意もなんで言われた通りにやっているのに誉めてくれないのだと不満気です。そして住持と門前の娘との秘密をばらしてしまうのです。秘密をばらされた住持は怒って新発意を投げるのですが、そのまま投げ返されてしまうのでした。
みどころ
狂言において権威への風刺ということがよく言われますが、骨皮もやはり僧に対する皮肉が含まれているのでしょう。しかし、住持に誉められようと一生懸命頑張る新発意や、隠居するといったくせに門前の娘に手を出しているまだまだお達者な住持など、人間らしく憎めない僧が描かれています。誰でも人に誉められたいものですし、娘さんにだって手 を出したいものです。こういったところが狂言の登場人物が共通して持っている、かわいげ、なのでしょう。
さて骨皮というタイトルですが、骨、皮といったら昔からそのモノの味がぎゆっと詰まった部分といわれています。先日食べた、はまちのカマもぎゅっとした味が感じられ、とてもおいしかったです。そんな骨皮というタイトルに負けないよう、演者五人の味がぎゅっと詰まった狂言にできたら幸いです。
平成十三年京都大学能と狂言の会パンフレット 文:今泉智通
うんちく
骨皮は狂言ではどちらかといえばマイナーな曲ですが、似たような話は落語にもあるそうです。 こっちはわりと良く聞く話です。また、京都の千本ゑんま堂狂言では「寺譲り」として 最高に面白い狂言になっています。この骨皮は不出世の名曲なのかもしれません。公演情報