居 杭(いぐい)


一緒になって笑っている居杭ちゃんですが、
両脇の二人の目にはうつってません!

 

別 表 記:井杭(和泉流)

分  類:小名狂言 準小名物

登場人物:居杭(シテ)、何某、算置(さんおき)


 あらすじ

 「居杭、居杭」と目をかけてもらえるのはありがたいが、そのたびに頭を扇で叩かれるので、居杭は清水の観世音よりいただいた頭巾を持って何某を訪ねる。何某に叩かれそうになって頭巾をかぶると、姿が見えなくなる。
 何某は通りかかった算置(占者)を呼び入れる。算置は、算木(積み木みたいなもの)を並べて占い、失せもの(居杭)の位置を当てるが、居杭は座を変えうまく逃げる。そして算木を散らかし、何本もひったくってしまうが、そのことが何某と算置との間に喧嘩を生じさせる。居杭は、期を見て頭巾を脱いで姿を現わす。

 みどころ

 頭巾を被ると、透明人間になっちゃうというSF狂言。居杭は、狂言『重喜』の重喜、『禰宜山伏』の大黒と同様、子供が演じる場合が多いので、ペシペシと扇で叩かれる所や、上の写真のように何某と算置の間で肘ついて転がって話を聞いている所など、自然とおかしみが沸いてくる事でしょう。でも、子供でなくてもO.K.なので、たまにおっさんが居杭を演じて、しかも顎に手をやって転がってたりすると、如何せん子供のイメージの強い役なので、「ああ、“えぐい”やなぁ〜」と悲しく思ってしまいます。ちなみに、居杭の名前は「出る杭は打たれる」の諺から来ているとか。
 その他に注目すべきは、やはり算置の存在と、その占いでしょう。算置が実際に活躍していた頃の風俗をかいま見ることができます。「まず当年は、平成○年□月◇日・・(その公演の日時を述べます)」「大水出れば、堤のわずらい」「鼠桁走れば、猫きっと見たり」と珍妙な占い文句を述べていきますが、実は結構本格的な占い(中国伝来の陰陽道、五行思想に拠る)でして、算木を占いの台詞に則って、きちんと意味ある置き方、扱い方をしているのであります。この算木の扱い方だけでも、真上から映像カメラで記録して、残しておくべきでしょうね。
 ついでに何某についても一言。この人は、珍しいことに頭(叩き)フェチなんです。僕も、酔っぱらうと人の背中をバンバン叩き安くなるので、非難は出来ませんが・・・。

文:湯田拓也

 

 公演情報

 '98 4/29(水・祝) 三大学狂言会(春の会)
          於 京都・八坂神社能舞台


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