入間川(いるまがわ)


はるか遠国、坂東の地(埼玉県)で一触即発!?

 

分  類:大名狂言 大名物

登場人物:大名(シテ)、太郎冠者、入間の何某


 あらすじ

 都から帰郷する東国の大名が入間川にさしかかり、川の向こうを通る入間の何某(なにがし)に言葉をかける。渡り瀬を問うと、ここは深いという言葉が返ってくる。大名は、ここは入間、それならば入間様(いるまよう)の逆言葉(意味を逆さに解する言葉)で浅瀬かと考え、かまわず川を渡り、深みにはまる。
 助けられて岸に上がった大名は、怒って成敗しようとする。何某が、成敗するとは入間様なら助けるということだと喜ぶと、大名は面白がり、何某に入間様を使わせ、刀類・衣類を身ぐるみ与えるが、最後は入間様を利用して、再び自分の手に取り戻す。

 みどころ

 漫画『ドラえもん』の単行本も第45巻まで発売されていると聞く。そんな長寿漫画も、第6巻の最終話「さようなら ドラえもん」で実は連載を終わりかけていたのである。ところが、次の7巻で「帰ってきた ドラえもん」というタイトル通りに、ドラえもんは未来から野比家にさっさと戻ってきた。
 なぜドラえもんはやすやすと未来から戻って来たのか?それは、のび太に唯一託した道具「うそ800(エイト・オー・オーと発音)」を飲んだのび太が、おもわず「もう、ドラえもんはもう二度と戻ってこないんだ・・」と悲しみまじりにつぶやいたので、その言葉がうそとなり、「ドラえもんは戻ってくる」が「うそ800」により実行されたためであった。
 この一連のエピソードで言いたいことは、この時点で、のび太の自立のチャンスが失われたことであろう。折角「さようなら ドラえもん」で、ジャイアンとの喧嘩において、彼に「俺の負けだぁ」(この時、のび太は敢えてドラえもんの(道具の)助けを求めなかった)と言わしめたのに・・・。
 前置きがながくなったが、この狂言『入間川』を観て、ふと幼い頃読んだ記憶が蘇ったのは事実である。もしかしたら藤子不二雄氏の方が、“入間様の逆言葉”を念頭に、この話・道具を考えられたのかもしれない。
 父方の郷里(富山県高岡市)の偉人、藤本 弘氏(ペンネーム藤子“F”不二雄)が、この間六二歳の若さで亡くなられた。お線香のかわりに、ほぼ15年振りに、てんとう虫コミックス「ドラえもん」集めを再開しようかなとふと考えてしまう今日この頃である。

・・・あ、狂言『入間川』の見所は、さくさくと進む“海道下り”の様子(ちゃんと富士山も眺めます)と、狂言のキャラクターには似つかわしくない、大名のしたたかさを私は挙げましょう。
 それにしても、言葉遊びの点は結構ですが、最後の大名の言葉は単なる屁理屈じみてて、あまり終わり方がすっきりしません。もうちょっと“快”を感じる留メがないものかと思ってしまいます。以下、問題のラスト部分の要約です。参考まで。

 入間の何某が大名の刀・衣類を持って立ち去ろうとすると、大名は引き留め、嬉しいか嬉しくないかと問う。何某がうれしくないと答えると、入間様をのけて真実を言えと迫る。
 何某が「身に余ってかたじけのうござる」と答えると、大名は「入間様ならばかたじけのうないと言うことであろう。こちへおこさしめ」と全ての物を取り返して退場する。何某は「たらされた」と言って。後から追い込む。

  ・・・・ね、ちょっと理不尽でしょ?  

文:湯田拓也

 

 公演情報

 


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