分 類:大名狂言 準大名物
登場人物:主人(シテ)、太郎冠者
あらすじ
無断でどこかに行ってしまった太郎冠者が昨晩帰ってきたました。それを聞きつけた主人が怒りに行くと、太郎冠者は唯一人の太郎冠者なので休みをもらえないと思い、黙って京都見物へ行ったと言い訳をします。都の様子も知りたいので主人は許すことにします。主人が何か珍しいものは流行っていないか、と尋ねると、謡が一節はやっていたので習ってきたといいます。早速謡わせると、これがなんとこの家の家宝ともいうべき「二千石」の祝言の謡だったのです。激昂した主人は謡の謂れを語り、太郎冠者を成敗しようとします。ところが太郎冠者は主人が太刀を振り上げた手元と、先代に叱られた時の手元が似ていたので思わず泣いてしまいます。太郎冠者に何もかもが先代にそっくりだと言われ、懐かしさのあまり大泣きしてしまいますが、子供が親に似てその跡を継ぐほど目出度いことはないと言って、太郎冠者と共に大いに笑って帰ります。
みどころ
この曲のみどころは何といっても二千石の謡の謂れを語る部分。いわゆる「仕方」を交えた「語り」です。この語りはたかが謡に大層な、と思っている「子細を御存じないお方」つまり我々観客に向かって語られています。この二千石の祝言の謡がどれほどの子細を持っているか、その耳でお確かめください。
とは言うもののこの語りは、怒って出てきて機嫌を直し、激昂した直後に大泣きし笑って留めるという喜怒哀楽の激しい曲の一部に過ぎません。成敗すると言って太刀を抜く緊迫した状態から一転して、先代を懐かしみ大泣きするところなどが分かり易い見どころかもしれません。
先代を偲び、「子が親に似て、代々その後を継ぐほど目出度いことはない」といって笑って留めるところから、追善として上演されることが多い曲です。
文:佐渡のきつね
公演情報