寝音曲(ねおんぎょく)


「東には、ぎ、うぉっ、うぃっ、ぐぃっ、◎×◇△!」

 

分  類:小名狂言 太郎冠者物

登場人物:太郎冠者(シテ)、主


 あらすじ

 たまたま太郎冠者の謡の声を聞いた主人は、太郎冠者を呼んで謡わせようとするが、太郎冠者は、酒を飲んで、しかも妻の膝枕でなければ謡えないと言う。主が酒を飲ませ膝枕をしてやると、太郎冠者は横になったまま謡い出す。太郎冠者の体を起こすと声はかすれ、寝かせると声が出る。何回も繰り返すうちに、太郎冠者は取り違え、やがて興にのって立ち上がって舞いだしてしまう。


「こきりこは、放下に、揉まるる〜」
とうとう立って舞いだした太郎冠者。
これがいわゆる太郎冠者の“忘我性”ってやつです。

 

 みどころ

 寝てる時には良い声だけど、起きると謡えなくなるとは、太郎冠者もよく思い付いたものです。主人の膝枕の動きに合わせて謡ったり苦しんだりと言うところがやはりみどころでしょう。
 しかし、この曲のテーマは「主人の愛」なのです。いくらなんでも寝ないと謡えないことに疑問を持たないはずはありません。それが嘘だと分かっても叱ることなく「やんや、やんや」と喜んでいるのです。太郎冠者が逃げ帰っても、「苦しゅうない」といってにこにこと追いかけていきます。これを愛と言わずして、何といいましょう。しかし、和泉流では二人は険悪な雰囲気になるそうです。みなさんはどちらが好みにあうでしょうか?

 うんちく

 太郎冠者が謡う謡は大蔵流では小原木と放下僧、和泉流では?と海人です。

文:藤野正也

 公演情報

'98 4/29(水・祝) 三大学狂言会(春の会)
          於 京都・八坂神社能舞台

 


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